宇宙へ届けロケット龍勢まつり(秩父市・吉田)【三十路女のひとり旅 埼玉63市町村一周の旅】
みなさんこんにちは、埼玉を巡るおすしです。
埼玉南部から電車とバスに揺られること約3時間。
片目瞑っても行けるくらい、そろそろ秩父旅もこなれてきました。
以前天空まで行った秩父鉄道皆野駅から、今日の旅がスタートです。
秩父市吉田到着
以前天空のポピー祭りで来た皆野で下車アンドさらにバスに乗り、秩父市吉田町で龍勢祭りというお祭りを見ます。
秩父といえば奇祭、奇祭といえば秩父というほど秩父には珍しいお祭りで溢れていますが、
ここ吉田町には、農民ロケットと呼ばれるロケットをぶっぱなしてお祝いするという謎の祭りがあります。
龍勢祭りとは?
椋神社にロケットを打ち上げて、ご奉納する。通称農民ロケット。
ご神事のため、お祭りと同じくにぎやかな催し物があちこち。
なぜロケットを飛ばそうと思ったのかは不明。
秩父は鉱物の資源が豊富です。
江戸時代の忍藩(行田)の支配だった頃には、幕府の持つ品川の砲台防備の任務があったため火薬の材料である硝石を作るよう命じられて、昔から作っていました。
そういえば秩父夜祭の花火、小鹿野の鉄砲祭りと火薬をドゴドゴ使うお祭りがあるけど、その名残なのではとこちらの論文では考察されています。
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjhp/54/2/54_77/_pdf/-char/ja
火薬は湿気るとダメになるそうで、小鹿野なども鉄砲祭りを年末に祭りをやるのはもしかして古い火薬を持ち越さないための在庫セールだったのかな? (非理系感)
龍勢会館で秩父グルメ散策
打ち上げ会場に行く前に、まずは地元出店が並ぶ地域の公共施設へ。秩父特産品がずらり。
ちょっとお腹も空いたので、屋台の並ぶ広場を歩いてみましょう。
秩父が最近力を入れている地元産メープルや、名水仕込みのお酒など色々あります。
中でも、会場内を占めていたのはやっぱりコレ。
言わずと知れた、秩父が舞台の「あの花」のグッズです。め、めんまー。
龍勢まつりといえば、秩父のアニメで有名な「あの花」(あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない)でも有名になったそうです。
町ぐるみで盛り上げてるんですね。
龍勢会館の前に行ってみると、おみやげだけではなく、1/1スケール感のめんまフィギュア(手彫り)がありました。
若者就職支援のお店があって、お昼ご飯(女子の主食はスイーツ)をいただきます。
三十路もコミュ障なので、ちょっとコミュ障っぽい青年が頑張って働いていたのが好印象でした。
前回食べた毘沙門氷でおなじみの小鹿野の近くなので、その水を利用したコーヒーもあるらしい。こっちもおいしそう。
龍勢会館と秩父事件の歴史
ここ吉田の地は、かつて秩父事件という大きな騒動があった場所でした。この記念館は、その記憶を忘れないように建てられたとのことです。
秩父事件とは>>
1884年、明治17年11月悪徳金貸や政府の悪政を批判し、貧民の救済を訴えておこした日本近代史上最大の農民蜂起。
秩父困民党軍は西南戦争で西郷軍が押したてた「新政厚徳」の旗をかかげて行進したという。
もともと秩父郡一帯は、養蚕製糸が盛んでゆたかな生活を楽しんでいたが、明治15年ごろから深刻な不況に直面し、多くの農家が高利の借金の返済不納におちいり、破産に瀕した。
17年2月、秩父に自由党が結成されると前年から運動していた上吉田村(当時)の高岸善吉・坂本宗作・落合寅市らがそれに加わって、解決の道をさぐった。
1884年、明治17年11月悪徳金貸や政府の悪政を批判し、貧民の救済を訴えておこした日本近代史上最大の農民蜂起。
秩父困民党軍は西南戦争で西郷軍が押したてた「新政厚徳」の旗をかかげて行進したという。
もともと秩父郡一帯は、養蚕製糸が盛んでゆたかな生活を楽しんでいたが、明治15年ごろから深刻な不況に直面し、多くの農家が高利の借金の返済不納におちいり、破産に瀕した。
17年2月、秩父に自由党が結成されると前年から運動していた上吉田村(当時)の高岸善吉・坂本宗作・落合寅市らがそれに加わって、解決の道をさぐった。
彼らは、貧民を救うために借金の10年据置き、40年々賦、学校の一時休校、諸税の減免を嘆願して農民らと運動をつづけた。
(秩父観光協会HPより抜粋)
http://www.chichibuji.gr.jp/chichibujiken/
龍勢会館には、秩父事件を記念して作られた石碑があります。
昔、借金の取り立てが厳しく農民が困窮していた時、秩父の人々がこれから行く椋神社で決起したそうです。
秩父は山間の町ということもあり、自主性に富んだ気質が多いように感じます。それでいて、いろんな町の人が集まるお祭りをきちんと大事に継承してきました。
秩父の人は歴史をたどるとわかりますが、お祭りを見ても独立心と平等を求める心が強いように思います。不条理なことに関して、きちんとした手段で自分たちの生活を守るために起こした騒動でした。
暴力行為はしないという軍律を取り決め、市民が生存に必要な主張が受け入れられなかったために起こってしまった事件でした。
国の管理側からすればそれは「暴動」ですが、それは一元的な正義に過ぎません。地域の自主性と市民の生活を守ることが歴史として強く根付いていることを感じさせます。
龍勢とは?
龍勢とは、秩父に住む農民の方が昔から作っていた手作りロケットです。
このロケットを椋神社に納めて、願い事を祈願するんですね。
吉田には27流派あって、龍勢作ってもらう時にはくじ引きで流派が決まるそうです。
ロケットを作るのは地元の方が中心ですが、スポンサーとして企業が入っているので、上がらないと大変。
お酒の席で「あの時上がらなかったねー」と言われてしまうそう、これはつらい。
一発あげるのにかかる予算は15ー20万円。(なお、ある一定の量は龍勢師本人の燃料(=お酒)になる模様。 )
秩父の外から来て話きいてたおじさんは
「20万? 大したことないから2、3本あげようかな」
と言ってたけど、むしろこれは地方価格だから割安なのでは…
火薬のつき方や調合する日の天気で出来が毎年変わってしまうそうなので、同じ数字で配合しても同じように上がるわけではないそうです。
まさに一年の願掛けにふさわしいご神事です。
いざ本会場の「椋神社」へ
椋神社は、昔日本武尊が創建し、以後戦火にあいながらもさまざまな人の手で再建されたという由緒正しい神社。
おすしが着いた時は、ちょうどお昼過ぎで、会場の熱気が盛り上がっているところでした。
次は東京大学の打ち上げのようです。
埼玉某大学のおすし、遙か上空をゆく東京のSラン大学様の勇姿を低みで見物。
一見成功したように見えるけど、実は中のパラシュートが開かなくて、半分失敗らしいです。残念。
あの花ドラマ制作者一同による有志ロケットもあり、皆さんこの龍勢ロケットに期待しているのがわかります。
その次は、地元の企業さんが打ち上げる龍勢です。
口上の前に地元の企業自慢も出来るので、ロケットがうまく上がったら、よい宣伝効果にもなりそう。
おいしいとちの実大福を求めて吉田の町を散策
おすしは今回の旅のもう一つの目的である、吉田製菓店へ行かなくてはなりません。
今年一月の旅で三峯神社に登ったのですが、ここで売っていたとちの実大福がとにかく美味しくて、母も私もとりこになりました。
たまには親孝行しないといけないので買いに行きます。
しかし、あの花の舞台になっただけあって、本当に景色が綺麗。
花の色も空の色も、地上のと違う気がします。素敵な秩父におすし別荘がほしい。
例によってガバガバ迷いながら歩くこと15分、吉田製菓の看板が見えてきました。
「いつもは龍勢会館で売ってるんですよ」
ファッ!? そうですか…
吉田製菓店に別れを告げ、ちょっと秩父吉田の町を歩いてみます。
こちらにも神社があります。貴布禰神社という神社だそうです。
本殿は焼けてしまったらしいのですが、 どうやら、秩父事件に関係する人を記念する石碑もあるようです。
どこかの家のお墓に、綺麗なオレンジ色の花が咲いています。なぜか、めんまが私の目の前に見えています。
(あの花の名前は三十路も素でわからない…)
(2015年10月11日来訪)